ISBN:4000270745 単行本 永井 大輔 岩波書店 2004/05 ¥1,575

たまには歴史の勉強でもしてみましょうか。
知識人のあり方について話題になっているサイード関連本です。

「批判的知識人としてラディカルな姿勢を貫き、文化と政治に対する探究によって西洋の支配が生み出す知の言説装置を暴きだしたサイードの認識を、フーコーやグラムシとの影響関係から論及する。」

という何か難しいことを言っていますが、
用語解説もついているので意外と読みやすいです。

要約すると、「知」と「権力」は密接な関係にあり、それは西洋文明を正当とする植民地支配の考え方を支えてきた。
「理性」や「進歩」を主張する西洋世界の考え方(言説)が、帝国主義をうまく実行に移す目論見と共存していたということが指摘されています。
サイードは比較文学の立場から、いくつかの著書でそれらを指摘しているようです。

よく考えれば、植民地が豊かになりたいと思うのは当然だけど、
今日の産業社会は西洋世界のシステムに入っていかないと豊かになれません。それじゃ結局相手の一人勝ちだけど、何とかするためには相手の土俵に上るしかない。
その構造自体、西洋社会の帝国主義が作り出した型なのかもしれません。

大国一人勝ちのグローバリゼーションには大きな不安がありますし、そういう分析の仕方は嫌いじゃないです。
ただ、サイードほどに果敢な知識人になるのは大変です。(何度か研究室を襲撃されているらしい。)

次はいくつか原書を読んでみたい。
時間ができるのはしばらく先だと思うけど。

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